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「年が明けましたよ」
「そうみたいねえ」
「これがいわゆる初日の出ですか」
「だねえ」
「去年はどうでした、レイヴンさんよ」
「激動の一年でした。ユカリさんはどうでした？」
「同じく激動の一年でした」
「お互いお疲れさまです」
「ほんと、お疲れさまです」
「でも、良い年だったわあ」
「あたしも、すてきな一年でしたわ」
「今年も良い年になるといいねえ」
「そうだねえ」
「今年の抱負は？」
「抱負ねえ…レイヴンに甘いものを克服させる」
「え、それユカリちゃんの抱負じゃなくない？」
「だめなの？」
「だめっていうか、その、あの」
「うそだよ！っていうのがうそー」
「やめて！こわいから！」
「だって、甘いもの食べれた方が良くない？」
「別に…」
「一緒においしいものを分かち合おうよ！」
「そう言ってくれるのはうれしいけどお…」
「いやまあ、正直どっちでもいいけどね」
「そうなの！？」
「うん、ユーリと食べるし」
「おっさんも混ぜてえええええ！」
「じゃあ克服しなよ」
「…少しずつなら」
「ふうん」
「興味ない感じですか！」
「割と」
「そっか…」
「それよりさあ、そろそろレイヴンも結婚した方がいいんじゃないの？」
「突然ね」
「いや、前々から思ってたけど」
「そうなの？」
「うん。だってもう３５歳じゃん」
「もうとか言わないでえ！」
「あたしはまだ２１歳だけどさ、レイヴンはお年頃じゃん？」
「お年頃…」
「そうそうお年頃。良い感じに熟してきたんじゃない？ぶふっ」
「自分で言っておいて笑わないでよ！」
「あらやだ、ごめん★」
「……」
「で、どうなの」
「どうなのって言われても…」
「結婚しようぜ！いいわよ！っていう人たくさんいそうじゃん」
「どういう意味！？」
「女遊びめちゃくちゃしてるから、それくらいわけもないですよねって意味」
「そんなことないもん！」
「嘘乙」
「うそじゃないもんんんん！」
「うるさいなあ」
「自分で振ったのに！？」
「まあ、いっか。なんでも」
「もっとかまってよおおおおお！」
「なんなの！このかまってちゃん！」
「だってさーユカリちゃんがさー…」
「はいはい。じゃあ良い人はいないんですかー」
「ちょっと適当じゃない？」
「早く答えなよ、聞いてるんだから」
「ごめん…。良い人は、」
「おう」
「良い人は…！」
「早く」
「います！」
「いるんだ。おめでとう。結婚式には呼ばないでね、ご祝儀払いたくないから」
「おそろしい子！」
「じゃあさっさと結婚しろよ、めんどくさい」
「…だって、片思いだもん」
「ああそう。じゃあ告白したらいいよ」
「えー…」
「良い歳したおっさんがなにうじうじしてんの」
「いくつになっても恋愛はどきどきするものでしょ！」
「そうですか」
「というか、ユカリちゃんは好きな人とかいないの？」
「ひみつー」
「ずるい！」
「ずるさに定評のあるユカリちゃんですから」
「知らなかった！って不名誉でしょ！それ！」
「そういうもんだ、人生なんて」
「それで？いるの？好きな人いるの？」
「女子か」
「教えてよー！」
「なんか、やだ」
「そのあいまいな感じが逆に傷つく！」
「そりゃどうも悪かった」
「あ、いえいえご丁寧に…って流されるところだった！」
「もう、いいじゃん。正月なんだし、何餅がすきかとか話せばいいじゃん」
「不利になったからって話逸らさないで！」
「不利じゃないし。あたしはいつでも有利だよ」
「そうね…」
「何餅がすきなの？」
「海苔巻くやつ…」
「あたし、きな粉」
「あ！ねね、もう一回聞いて！」
「なにを」
「何餅が好きかって聞いて！」
「……」
「おねがい！」
「何餅スキデスカ」
「やきもち」
「…死ねばいいのに」
「新年早々不吉なこと言わないで！」
「レイヴンが悪いんじゃん」
「そうね…ごめん」
「わかればいいよ」
「うん…釈然としない気がしなくもないけどね」
「あーあ、そろそろ寝るか。寒いし」
「そうねえ」
「明日のってもう今日だけど、朝ごはんがたのしみだね」
「…あのさ、ユカリちゃん」
「なに？」
「寝る前にさっきの聞かせて？」
「さっきのってなに？」
「ユカリちゃんに好きな人がいるか、ってやつ」
「いるよ」
「いるの！？」
「いるよ。おやすみ」
「ちょちょちょっと待って！」
「なに？ここ屋根の上なんだから中腰のあたしが今バランス崩したらどうなるかわかるでしょ？」
「あ、ごめん…じゃなくて！あのね」
「うん」
「…俺、ユカリちゃんが好きです！」
「へえ」
「それだけ！？」
「いや、ちょっとびっくりしただけ。新年早々、もしかしたらフラれるかもしれないのに、大胆
　にも告白するレイヴンって意外と勇気あるなって」
「フラれ…」
「じゃあ、今年、結婚しようか」
「え？」
「あたしと結婚する？」
「え！？」
「いやならいいけど」
「いやとかじゃなくて、その、え！？」
「なに」
「ユカリちゃん、俺のこと、好きなの…？」
「ああ、そういうことね。うん、すきだよ」
「えええ！？」
「いやなの？」
「うれしいです！」
「よかったね」
「うん」
「じゃ、ちゅーでもしとくか」
「え…ちょっ、むう！」
「はい、今年初きっす。おやすみ」
「……はっ！待って！一緒に降りる！」















新年小話






（今年もどうぞよろしくおねがいいたします＾ω＾byユカリたそ）（変なはがき来た！）
（カロルって意外と失礼だよね）（だって、ユカリたそって…）（文句あるの？）（ないです！）
（それよりめっちゃおっさんが浮かれてんだけど、お前なんかした？）（ああ、結婚するの）
（（は！？））（ユーリもカロルも結婚式にきてね）（…新年早々すげえな）（だね…）