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「できたかも」
「え?なにが?」
「赤ちゃん」
「だれの?」
「あたしとあなたの」
「は?え?俺とちゃんの…ってこと?」
「うん」
「えええ!?」




慌てる35歳。冷静な22歳。
ちなみに22歳はわたくし、です。
この度、レイヴンとの間に子どもができました。というわけでよろしくです。




「うそ…?」
「ほんと。っていうかこんなことでうそつかないし」
「そ、そうだよね…ごめんね、あの、うん」
「やっぱり、迷惑?」
「いやいや!そんなことないわよ!ただ、突然だったから驚いただけで…うれしいよ?」
「…ほんとに、そう思ってくれてる?」
「あたりまえでしょ!」




そう言ってレイヴンはやさしく、強く抱きしめてくれた。
ほんとはすごく不安だった。だって、確かにレイヴンとはそういう関係だったけど、
将来のこととか考えてる様子はなかったし。
それに、あたしもまだ22なのに子どもとか、すごく驚いた。それからこわくて。
だけど、一番に思ったことは、“うれしい”だった。
だいすきなひととの間に新しい命が生まれたってなったら、そりゃあうれしい。
あたしのお腹にもう一つの命があるなんて、信じられない。
信じられないけど、すごく感動っていうか、なんか言葉では言い表せない気持ちになった。
もちろん、今この瞬間レイヴンの腕の中にいるのもすごくしあわせだけどね。




ちゃん、」
「うん?」
「こんなおっさんだけど、ずっとずっとしあわせします!…俺と、結婚してください」
「…はい!」
「この子の名前も決めなきゃね」
「まだ男の子か女の子かもわからないのに?」
「うん、たくさん考えよう」
「そうだね」
「それから家も新しく買っちゃう?あとベビーグッズとか!あ、青年たちにも言わなきゃね!」
「もう、レイヴン気が早いよ」
「いいじゃない!あーなんか今頃になって実感湧いてきたかも」
「あはは」
「…すっごい、うれしい」
「うん、あたしも」




今だけでもしあわせなのに、こんなしあわせでいいのかな。しあわせになってもいいの?
いや、あたしがレイヴンをしあわせにしなくちゃ。それから、お腹のこの子のことも。
お母さんに、なるのか。やっぱりちょっと不安だけど、レイヴンと一緒なら、乗り越えられる。
そんな気がする。あたしもあなたも一緒にしあわせになろうね。





























「っていう夢を見たからあたしと結婚しようか」
「ええええええ!?」
「きっとこれ予知夢ってやつだよ、うん」
「いや、え?ちょ、落ち着いてちゃん!」
「なに?」
「なに?じゃないでしょ!けけけけけっこんて!」
「うん、それがなにか問題でも?」
「問題しかないわよ!だって、俺とちゃんそもそもつきあってない、よね?」
「あれ、そうだっけ?」
「そうでしょ!」




めんどくさいなー。もういいじゃん結婚で。
確かに今は付き合ってないけど、問題ないよ。どうにかなるもんよ。意外と、人生。




「だってレイヴンあたしのことすきでしょ?」
「ええええ!?どっからその自信きてるの!?」
「レイヴンがお風呂覗いてることからくる自信」
「えええええええええ!?なななななな!!そそそそそそんなことしてないし!!」
「いやいや、常習犯がよく言うよね。レイヴンさ、ユウマンジュとかでなくても、
 普通に宿泊まった時とか覗いてるじゃん」
「うえ?そそそんなわけない…もん!」
「うそこけ」
「うう…うそじゃないもんんん!」
「あ、耳動いてる」
「うえああああ!」




説明しよう。このおっさんはうそつくと耳がピクピク動いちゃう。かわいいでしょ?
だからうそなんてお見通しさ。
ま、お風呂覗くのは人としてどうなのって話だけど、気づいててぶん殴らなかったのは
愛があったからって思っていただきたい。




「別にいいじゃん。覗いてても怒ってないよ、あたし。むしろ黙認してたんだよ。
 それ、どういうことかわかる?」
「…え?どういう、こと?」
「あたしもレイヴンすきだし、別にいっかなーって」
「え、えええ!?」
「ねえ、どうすんの?結婚すんの?しないの?」
「あーえーううう!!」
「しないならいいけど。今度からお風呂覗いたら確実に息の根止めるから。これまじ」
「待った!ちょっと待ったああああ!」
「なによ。はっきりしないなー」
「…えと、その、俺と」
「俺と?」
「おおおおお俺と!」
「うん」
「け、結婚してください!」
「はい、よくできましたー」




やっと結婚すると言ったレイヴンにご褒美のちゅーをあげた。
もちろんレイヴンとちゅーは初めてよ、はじめてのちゅー。あははは。
あ、そういえば夢とキャラ違くね?と思うかもしれないけど、夢ってそういうもんじゃない?
ちょっと脚色されるというか、いつもと違う自分になるっていうか。まあそんな感じ。
あたしって意外とこんな感じ。割と賢い女だと自負しているよ。
なにはともあれ、結果おーらい?あたし、結婚します。




「さて、じゃあどうしようか」
「え?なにが?」
「いっそ正夢にでもするかい?」
「え、ええ!?そそそそそれって…!」
「子作りします?」
「ぶっ!!」
「汚いなーもう」
「お、女の子がここここ子作りとか言うんじゃありません!」
「それくらいいいでしょ。むしろオブラートに包んだつもりだよ。それともはっきり、セッ」
「こらこらこらあああああああ!!!」
「うるさいなー。じゃあ、とりあえず手でもつなぐか。ほれ」
「…うん」




なんか立場逆じゃない?まあいいか。
仕方ないからあたしがしあわせにしてあげる。どこかのお姫さまのように。



































  シンデレラ ゆめ をみない




 (強き灰かぶりは王子を迎えに行く。さあ、お手をどうぞ?王子さま)