世界がどうしたっていうんだ。世界なんて壊れてしまえばいい。どうしてあたしがこんな世界のために戦わなくちゃ
ならないの？どうしてあたしが知らない他人のために世界を救わなくちゃいけないの？どうしてどうしてどうしてどう
してどうしてどうして。あたしは自分のために生きる。自分のためだけに生きてきた。誰かのためになにかをしなくちゃ
いけないなんて、そんなのくだらない。これまでだって、これからだってずっとずっとずっとあたしはそうやって
生きていく。ずっとずっとずっと独りで。そう、あたしは独り。ずっと独り。これからだってずっとずっと独り。
それなのに、最近仲間きどりしているやつらは誰かのためにみんなのために、そんなこと言ってる。そんなくだらない
ことばっかり。くだらない。笑えない。おもしろくない。なんなのこいつら。ほんと笑えない。それに巻き込まれてい
るあたしの身にもなれっていう話よ。信じられない。そうだ、最近恋人ごっこも始めた。ほんとくだらないんだけど。
そいつの名前はレイヴン。仲間きどりしているやつらの一人。その男はどうやら過去いろいろあったらしい。どうでも
いいんだけど。そんで、人魔戦争って言われているやつに参加して一回死んだらしいよ。うける。で、その時の仲間
と一緒に死にたかったのに、生き返っちゃったんだって。大変だね。なんつって。生き返った後は世界に絶望したら
しいよ。絶望だって、絶望。ほんとうけるよね。たかだか何十年程度しか生きてないくせに絶望！ばっかじゃないの。
ほんとばっかだよね。そんなの絶望のぜの字にも入らないっつーの。ほんとの絶望なんてあんたらには一生理解でき
ないっての。そうそう、それで話を戻すけど、その男となんだかんだで仲良くなって付き合うことになりましたー！
ちょーおもしろいよね。別にすきでもなんでもないっつの。だってそうじゃん。こんな腹ん中真っ黒で腐ってるあたし
のことなんか誰もすきになんかならないし、そもそもレイヴンとかいうの浮気してるし。ほんと信じられないよね。
まあ別にどうでもいいんだけど。興味ないし。自分はばりばり浮気してるくせに、俺にはちゃんだけだよ、って
言ってた。ほんとばっかじゃない？知ってるんだけど、浮気してること！バレてないとでも思ってるの？そしたら
ほんとばかやろうだよね、すんごいおもしろい！あたしにはあんたなんか必要ない。仲間も必要ない。あたしにある
のは絶望だけ。絶望だよ、絶望。あんたらがすきな絶望。でもあんたたちが知ってる絶望なんて絶望じゃない。
そんなちっぽけなこと絶望じゃない。一回死んだからなに？生き返っちゃったからなに？そんくらいがなんだって
いうわけ？あたしは、あたしは！あたしは、何年も、何十年も何百年も何千年も、もう記憶にないくらい昔から独り
で生きてる。ずっとずっとずっとずっとずっと！独りで生きてる。これからもずっと、独り。誰かに恋しても、誰かを
愛しても、誰かに恋されても、誰かに愛されても、みんな結局あたしを独りにする。ずっとなんてない。絶対なんて
ない。そんなもの、お前らにはない。あたしにしかない。あたしのために永遠がある。あたしのために絶対がある。
あたしのために絶望がある。あたしのためだけに、孤独がある。ずっと、あたしだけのもの。
「ちゃん、すきだよ」
「あたしも、レイヴンがだいすき」
終われない
彼女
（すべてはあたしのモノなのに、永遠を持っていないあいつらがうらやましいのはなぜだろう）