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煩悩
デストロイ
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ちゃん、完全復活です。心配してくださったみなさんありがとう!
というわけで、今年ももう終わりだよ!早い1年でした。今年はほんといろいろあったね。
成長したんじゃないかしら、あたし。
来年はもう2年生ですよ。先輩たちは3年生です。ってことは再来年は先輩たち卒業しちゃうって
こと!?なにそれいやだ!あたしも一緒に行…かない!だって行ったら先生とお別れじゃん。
ごめんユーリ先輩、フレン先輩。先輩たちより先生をとるあたしを許して下さい。
とかなんとかで、大晦日にエステルと一緒に神社に行ってそのままカウントダウンそして
初詣だ!っていう計画を立てています。
なんとなくだけど、またエステルがスタンドを連れてきそうな気がするんだよね。
あ、スタンドってフレン先輩なんですけどね。そしてスタンドの友人としてユーリ先輩も
いると思う。思っていうかいますね、はい!
◆
「ほらいた!」
「何がだい?」
「スタンドです」
「は?スタンド?」
「お前のことだよ、フレン」
「え、僕?」
「ごめんなさい、。いつもの如く」
「いいんだよ!大勢の方が楽しいし!」
「そう言ってもらえると助かります」
「ユーリ、スタンドって」
「まあ、気にするな」
いやーにしても混んでるね、さすがに。そしてカップルがいぱーい。前にもこんなことあった
ような気がするぞ!
なんでもかんでもイベントには恋人と!っていうのやめなさいよね!見てると悲しくなる
んだよ!というより切ない?いや、別にそんなことないし。うん。
全然今が楽しいので。って言うとなんか無理して言い訳しているみたいだよね。でもほん
となんだよ!あたしは今が一番なんですうううう!
「よし、とりあえずなんか食べましょうか!」
「は?お前飯食ってないのか?」
「食べましたよ。きっちり年越しそば食べました」
「なのに食うのか?」
「うん、そうですね」
「なんなのお前の胃。フードファイター用?」
「いえ、一般人女(思春期)用です」
「たぶんそれ壊れてるから直してもらってこい」
「そうですかねえ、調子良いと思うんですけど」
「いいから直せ」
「はあい。じゃあたこ焼きでも食べて直そうかな」
「おい」
なんだよなんだよーう。ユーリ先輩ってばそんなこわい顔で睨まなくてもいいじゃないか!
たこ焼きくらい食べさせてよね!それくらいならいいじゃんいいじゃん!
それに寒いし、たこ焼きで温まりたいだけなのに!それにどうせ買ったら1こくれって食
べるくせにー。ぶーぶー。
とかなんとか言ってたらスタンドのフレン先輩が買ってきてくれた!やっほい!やっぱり
持つべきものは、スタンド?
◆
「うわーやっぱり人たくさんですね」
「そりゃそうだろ。あーあ、前にこんないるよ。誰かさんのせいで」
「ななななな!あたしのせいだっていうんですか!ぷんすか!」
「どう考えたってお前だろ!お前が次から次へと食べたい食べたい言うからこうなったん
だろうが。いっそフードファイターと戦ってこいよ」
「いやーさすがにフードファイターには勝てませんよう。だって俺の胃袋は宇宙だ!って言って
ましたもん」
「お前も銀河くらいはあるから挑戦してこい」
「えーいやですよー」
「もう、2人共そのへんにして早く並ばないと」
「そうですよ!こうやってる間に前に人増えてるんですから!」
「「ごめんなさい」」
初詣のために並んでます、あたしたち。
よくテレビでお参りするのにすごい並んでるもんね。ま、あたしたちも今やその一部ですよ。
にしても賽銭箱は遥か遠くですよ。もう誰のせいでこんなんなったんですかね!とか言った
らたぶん袋叩きにされそう、主にユーリ先輩に。
でもこうやって並ぶのも楽しいと思うんだぜ。あのー、アトラクションに乗るためにすご
い並んで待ってる感じ?そんな気分ですよ。夢の国を思い出すね。あははうふふ。
「そういえばお前ら来年どうすんだ?」
「なにがですかー?」
「文系か理系」
「あたしは理系でっす!」
「わたしも理系です」
「おおー!来年もクラス同じだといいねー!エステルー!」
「そうですね!」
「なんか意外だな、理系って」
「そうだね」
「どういう意味ですか?」
「エステルはともかく、が理系ってなー」
「は文系かと思っていたよ」
「なんですかーそれ!まるで理系のようなインテリ系は無理だろうな、ははんって言われて
いるようです!」
「まあ、そんな感じだ」
「否定して!」
失礼な人たちですこと!あたしは結構前から理系と決めていたんですーだ!
あ、レイヴン先生がいるから理系っていう不純な動機じゃないですよ。あたしはもともと
理系タイプなんですよ、これまた意外。うるさいわ!というノリツッコミ。
まあ数学とかってそうだけどさ、答えって決まってるじゃん?そういうとこが、すきなの
かもしれないなあ。まるで自由な発想が乏しい子みたいになってるけどそうじゃないから
ね!そうではないんですよ、決して!
「理系の先輩ということでいろいろ教えてくださ…らなくてだいじょぶです」
「どっちだよ」
「だってフレン先輩に教えてもらうのとかもういやなんですもん!」
「遠慮しなくていいんだよ、」
「全力で遠慮します。わからないことがあったらエステルに…聞きたいけどなんかフレン
先輩がついてきそうでやだなあ」
「そんなに僕を否定しなくてもいいんじゃない!?」
「だって結構きついですよ。ね、ユーリ先輩」
「そうだな、そこに関しては同感だ」
「……」
「フレン、がんばってください」
とかやんややんやしているうちにもうそろそろ年明けちゃうんじゃない?
うーん、なんか今年はほんといろいろあったなあ。しみじみしてしまうね。うむ。
まず中学卒業した。中学だって!ひゃっはー!なにそれあたし若い!いや今も十分若いんですけど。
で、高校進学に伴い、おばあちゃんの家でお世話になるため引越した。というか居候?
高校入ってからは、エステルというすてきなお友だちができて、男前でフェロモンだだ漏
れなユーリ先輩と、エステルのスタンド兼鬼コーチ、それでいてさわやかという大した矛
盾を持つフレン先輩と仲良くなるっていうね。なんかすげえな。
それで、やっぱり一番の出会いはレイヴン先生かな。ね。これは譲れないですよ。
初めて会ったのは電車の中で、そのあと秘密の花園っていうすんばらしー場所で再び出会
い、なんか気がついたら仲良くなってて。で、まあ、すきになったと。
正確には、まだ出会って1年も経ってないっていうのに、先生との思い出がたくさんある。
そりゃあ、悲しいこともあったけどね。それでも、そんなこと!って思えるくらいすてき
な思い出をつくれた気がするよ。
なにより、こんなにすきになれてよかった。これからもどんどんすきになりますけどね!
「あ、そうだ!みなさん!カウントダウンからのHAPPY NEW YEAR!でおねがいします」
「了解です!」
「わかったよ」
「それオレもやんの?」
「あたりまえだのクラッカー!もしやらなかったら新年早々なにが起こるかわかりませんよ★」
「クラッカー…。まあいいや。ここまできたら付き合ってやるよ」
「え!?誰と付き合うんです!?」
「いやめんどくさいから」
めんどくさいからで一掃されちゃったよ。あははーん。
来年はどんな年になるんだろうなあ。今年のようにいろいろあるんだろうか。
わくわくするよね!
っと、そろそろカウントダウンの時間がやってきたんじゃないのかしらー!いえい!
「そろそろカウントダウンですね!」
「よし!皆の衆、準備はよいか?」
「はい!」
「誰だよ」
「準備おっけーだよ」
「じゃ、時計みてー時計…じゅじゅじゅう!」
「9」
「8」
「7」
「6」
「5」
「4」
「3」
「2」
「…1!!」
「「「「HAPPY NEW YEAR!」」」」
年明けたー!うわーい!あけましておめでとう!今年もよろしくおねがいしまっす!
周りの人たちも年明けたぜうおー!みたいなテンションです。
あちこちからあけましておめでとーう!やらHAPPY NEW YEAR!と聞こえてきます。
「今年もよろしくおねがいしまっす!」
「こちらこそよろしくおねがいします!」
「おーよろしく。とりあえず今年はもう少し食の方を自粛した方がいいぞ」
「よろしく!今年も勉強みてあげるからね」
「うわーい!言いたい放題だよー!こわいよー!でも年は明けたからめでたいよー!なんか
食べとく?」
「おい。ちっとも人の話聞いてねえな」
さてさて、年も明けたわけでみなさん初詣タイムですよ。
一番前の人は何をお願いしたんだろうね。あ、ちなみにお参りする時は、ちゃんと自分の
名前と住所を言わないといけないらしいよ。そうしないと神さまはあたしたちのことわか
らないからね。
まあそうだよね。人間なんてみな同じ!と言ってもこれは神さま視点の話なんですけど!
そんなわけで順番来るまでひたすら小刻みに進みながら待つぜ。
「みなさんなにをお願いするー?」
「こういうのは言わない方がいいんだろ?」
「そうですよね、なので秘密です」
「僕は、」
「おい、この流れでなんでお前だけ言おうとしてるんだよ」
「いやなんとなく」
「あ、じゃあ代わりにあたしの聞きます?」
「なんの代わりだよ」
「聞きたい?聞きたい?」
「聞きたくない」
「聞きたいって言ってくださいよー」
「…聞きたい」
「ひ み つ ★」
「殺す」
「あだだだだだだだだ!!!」
地下の世界へお送りいたしまーす、っていうくらいの圧力でユーリ先輩に頭をぐりぐり押
されました。めっちゃ痛い。だってぐーでぐりぐりやるんだもん。何本か毛をもっていか
れたような気がする。地下の世界、つまりアンダーグラウンド!いえい!
◆
「結構かかりましたね」
「そうだな」
賽銭箱に来るまでどんだけかかってんだよちくしょうコノヤロー!
お前らなにをそんなに願い事しとるんじゃい!この欲張りさん!欲張りさんんんん!
「よし、お金を握って準備万端だ!」
「いくら握ってんだ?」
「55円」
「どうして55円なんです?」
「五重にご縁がありますようにだよ!」
「浅ましい限りだな」
「じゃあユーリ先輩はいくらなんですか!」
「25円」
「ふっつー」
「うるせえな」
「じゃあフレン先輩は…ってええええ!?なにごそごそしてんだと思ったら札ですか札!」
「うん、まあいろいろお願いしたい事があるからね」
「ユーリ先輩!こっちの方が浅ましいですよ!」
「こいつはもうそういう次元超えてるから」
「ていうか札じゃ飛ばないですから!」
「小銭で札に重りをつけてんだよ」
「なん…だと?もう、何も言いますまい」
「それがいい」
とかくだらないことをやっている間に順番が回ってきましたよ。
2礼2拍手1礼だよ!あってるよね、あってるんだよね?そうなんだよね!?
あ、とりあえず会釈ね、会釈。どうも、ぺこり。
えーっと、お金を投げてと。ちゃりーん。よしよし。そんで、鈴を鳴らす。カランカラーン。
続きまして、2礼だね、2礼!ぺこりぺこり。そして2拍手!ぱんぱん。
ここからが本番だ!あたしのターンだよ神さま!準備はいいかい神さま!いいのかい神さま!
ええと、どうも、と申します。昨年はお世話になりました。今年もどうぞよろしく
おねがいいたします。
今年も家族が健康でありますように。フレン先輩に頼らなくても余裕なくらい勉強できます
ように。ユーリ先輩がフェロモンを自制できますように。エステルともっともっと仲良く
なりますように。レイヴン先生があたしのことをすきになりますように!あと、レイヴン
先生が担任になりますように!!
…よし、とりあえずこんなもんか。おっと!住所言うの忘れた。
さて、最後に1礼して、と。
「よし、みんなもうお願い終わっ…いない!?」
「ー!こっちですこっち!」
「え!?どこどこ!?ああ!!あんなとこに!!…あ、すいません今どきます」
お参り終わったぜ!とかのんきに思ってたらみなさんもうとっくの昔に終わってたみたい
ですね!だからっておいてくことないじゃん!
そして後ろのひとの冷たい視線が痛いこと痛いこと。ひどいよひどいよ!
「ひどいよ!置いてくなんてええええええ!」
「お前どんだけ願い事してんだよ」
「に一応声かけたんですけど聞こえてなかったみたいなんで先に行ってました。
ごめんなさい」
「うえええん。置いてった罰としてユーリ先輩甘酒奢ってください」
「なるほど。新年早々もう一発喰らいたいのかそうなのか」
「違います全然違いますうそですうそです大うそです」
「でも冷えちゃったし、甘酒飲もうか」
「やった!さすがスタンド!」
「フレン、こいつ甘やかしすぎじゃねえのか」
「そんなことないって。というかスタンドって」
「さあ、行こう!」
今年も良い年になるといいな!
みんなとももっと仲良くなりたいし、もっといろいろ遊びたい!うんうん。
たくさんの時間を一緒に過ごせたらいいな。
先生とも一緒にいられる時間が増えるといいな。やっぱり担任の先生とか担任の先生とか
担任の先生とかになったらうれしい。そしたら堂々と話せるし、もっと先生のこと知るこ
とができるもん。
先生のHRとか、授業とか、臨海学校とか、体育祭とか、学園祭とかクリスマスとかもう
わんさかあるよ!いろんな先生が見れる年になりますように!
それから、少しでもあたしのことをすきになってくれますように。
神さま、あたしがんばります!
1年生の終わりは近い。そして、今のあたしに近づく始まり。