SEO










10偶然必然漠然







体育祭が終わって次は学園祭だー!いやー忙しいですなあ2学期は。
さて、体育祭での肘鉄事件からの先生に泣きついた大事件を起こしたあたしです。
肘鉄事件は、どうやらユーリ先輩やらフレン先輩に憧れている人だったらしく、いやがら
せだったみたいです。もう、女子ってばこわいわね。まあ事を大きくするはだめだぞとい
うことで先輩たちがもみ消したそうです。広がってもその子がかわいそうだしね。
肘鉄女の気持ちもちょっとわかるし。あんな見目麗しい男性にちょこまかとくっついてい
る平平凡凡な女子がいたら鬱陶しいもん。ってそれあたしなんですけど!
と、肘鉄事件はそんな感じです。
さて、もう一方の大事件ですが、今思えばおいしいよね。と考えるあたしは終わっている
と思う。いやでもほんとおいしかったわあ。もっと味わっておけばよかったな。
とかなんとか言うあたしですが、実は恥ずかしいんですよ。そこのところを汲み取ってく
ださい、ぜひ。あたしってば照れ屋さんなのです。だから恥ずかしいったらありゃしない
んですけど、先生には感謝しているのです。なぐさめてくれてうれしい限りです。
ていうか、先生がなぐさめてくれた時、『先生、ちゃーんと見てたよ』って言ってた。
それってあたしのこと見てたんだよね?あたしを見つけてくれたんだよね?それって、それっ
て一歩前進な気がするんだけど、どうかな。どうかな?どうなの!?




「どうなの!?」
ー、言いたいことあるなら挙手しろ挙手」
「あ、すいません何もないでーす」




今学園祭でクラスの出し物何にするか決めてる最中だた。うっかりうっかり。
にしても学園祭かあ。たくさんの人が来てうはうはするあれだよね。まさに青春だな。い
いね。いいね!




「いいね!」
「だから挙手しろって言ってるだろ」
「ごめんごめん」




学園祭委員の方に怒られてしまいました。つい声が出ちゃうんですね。うっかりうっかり。
どんだけうっかりさんだ。
というか、案はいろいろ出てるけどどれもぱっとしないよなあ。もっとなんかあるだろ。
がんばれみんな!




、応援するくらいならお前が出せ」
「え?うっそ、また声に出てた!?」
「もろ出てたぞ」
「ひいいい!恥ずかしい!」
「変な声は出さなくていいから案を出してくれ案を」
「えー、じゃあプラネタリウム」
「プラネタリウム、か。いいな、それ決定」
「安直!」




それでいいのか学園祭委員。こんな適当に言った、いや全然適当じゃないし。実はこう、
あたためてきたすばらしい案であって、うん。
とりあえず決まったならいいんじゃないかな。でもプラネタリウムって何すんだ。そもそ
もクラスのみんなそれでいいの?
と、クラスを見回してみたら、プラネタリウムかーいいな、斬新でおもしろそうだねー、
とか結構評判いいみたい。そうと決まったらみんながんばればいいよ!あたしもそれなり
にがんばります。
って、だからプラネタリウムって何すんだって!























「プラネタリウムってなにするの?」
「なんか教室全体をプラネタリウムにして、キャンドルとかで飾り付けしちゃったりで、
 ちょっと大人なカフェちっく、ひゃっふー!というものらしいです」
「へえ、雰囲気出るわねえ。カップルとかには人気かもしれないわね」
「いやーあえてカップルには爆発していただいて、独り身の方にぜひ楽しんでいただける
 空間を目指しています」
「どんなコンセプト!?そこはストレートに狙っていきましょーよ!」
「なんか、やだ」
「やだって!やだって言ってもだめでしょ!そこはがんばろうよ」
「まあまあ、それは置いといて」
「ここで置いたらなにかだめになってしまう気がする!」
「ま、そこはクラスの人に任せましょう!いえい!」
「そのテンションが逆にこわい!」
「で、先生たちのクラスは何するんですか?」
「すごいベタな執事喫茶」
「ええ!?そんなことされたらお客を根こそぎ持ってかれちゃいますよ!却下却下!」
「になるかと思ったんだけど、ユーリとフレンからものすごいブーイングで半ば強引に屋
 台をやることになったのよ」
「ふいー!あぶないあぶない!それ正解ですよほんとに!で、何の屋台?」
「やきそば」
「こりゃまたベタ!でもユーリ先輩のやきそばなら食べたい!あ、先生は作らないの?」
「んー?めんどくさいもん」
「えええ」
「でもやらないと怒られそうだからなあ、主にユーリ。ま、ちょいちょい手伝うかね」
「じゃあその時食べに行くます!」
「行くますって、あははっ。じゃあちゃんの分とっておいてあげるわね」
「やったー!」




先生のやきそば食べれるとかしあわせで死んじゃうよーう!でも死ぬならやきそば食べて
から死ぬけどね!
あ、そうそう、また例の如く先生と普通に話してるけど、今回は軽く照れたよさすがに。
最初ここに来た時、先生が先にいたんです。でもあれには触れてこないだろうと思ってた
のに、「膝もうだいじょうぶなのー?」って言うもんだから、「あ、おかげさまでだいじょ
うぶですー…、その、ありがとうございました」というやりとりがあったんす。
照れた少女はちらちら先生を見上げると、先生はやっぱりやさしい顔で「そら、よかった」
ですって。
もうきゅんきゅんして死んじゃうよ。






















いそいそと学園祭の準備が行われています。大変みたいです、どこのクラスも。
うちのクラスも例外ではないのですが。
プラネタリウムを星空に見たて、いつもと違った空間で癒しをどうぞってな感じのコンセ
プトなので、お客さんには床に座って見上げてもらおうかなと思ってます。ちなみにコン
セプトは今考えた。でもだいたいあってるから問題無し!
床って言ってもちゃんとシート敷いてお尻が痛くないようにするんですよ!そこは心配な
さらず、どうぞどうぞ。
そんでまあ、キャンドルを置くんだよ。すごい神秘的になる…はず!ところどころアロマ
キャンドルとか混ぜちゃってね!良い香りがするーあらやだすてき。それを狙っていきま
しょう。キャンドルジュン!




「さて、あたしはどうしたらいいですかね」
「とりあえず大人しく買い出しに行って来てください」
「あ、すいません。じゃあエステル一緒に行こうー」
、お前一人で行くんだよ」
「な…なんだってえい!?なぜだ学園祭委員!」
「お前と違って器用だからいろいろ頼みたい仕事があるんだよ」
「なんて厳しいお言葉!まるであたしが使えないみたいじゃん!」
「現実見ろ。お前さっきから応援してるだけだろ」
「応援も立派な仕事だよ!失敬な!」
「立派かもしれないけど今は実際どれだけやれるかが大事なんだよ」
「はう!そう言われると、行ってきます…」
「おう、さっさと行けー」




モブの学園祭委員にこんな厳しいことを言われるなんて…!ちくしょう!あたしもまだま
だよ。ちなみに、モブの学園祭委員の名前は、小野くんだったような気がする。
ので、小野くん(仮)と呼ぶことにしよう。途中からめんどくさくて小野ってなりそうだ
けどね。ま、そこらへんは自然にささーっと流して下さい。
じゃあ買い出し行ってこようか。こんな女子に買い出しなんてねー、荷物重くていやんな
るよ。と言ってもあたしは前科があるから信用してもらえない。前科というのは、体育祭
でのエステルお姫様だっこという事件なんですけどね。ええ。
あーもう!とにかくあたしは1人で寂しく行ってくるよ!ばーか!





















「えーっと、これとこれとー、あとこれか」


学校の最寄り駅にある駅ビルにて買い物中。すでに両手に花ならぬ、両手にビニール袋。
ふざけんな!重いっつーの!やっぱり重いじゃん!小野(仮)コノヤロー!王子だって女
の子なんだぞ!あれなにこれ、変。じゃなくてさー、もうあの時は火事場の馬鹿力のよう
なものなんだよ。実はか弱い女の子なんだよ。それなのに両手にビニール袋って…!しか
もまだ買うものあるし。どんだけだよ。あたしの力を過信しすぎだよ!重ひ。




「帰ったらセブンの中華まん全種類買わせてやるからな。覚えておけよ…小野(仮)」
さん?」
「え?あ、キャナリ先生」
「よかった、見つかって。もう、小野くんたら女の子一人に買い出しなんてさせて」
「先生どうしてここに?」
「準備手伝ってたんだけど、道具が足りないから小野くんに聞いたら、今が一人で買
 い出し行ってるのでもう少し待ってくださーい、なんて言うからびっくりしたわよ」
「ほんとですよね!男の隅にもおけませんよ!ぷんぷん!」
「ふふっ、本当よね!さ、私も手伝うからさっさと買っちゃいましょ?」
「はい!先生ありがとう!」
「いいのよ」




さすがキャナリ先生、やさしさで溢れているぜ。どっかの学園祭委員とは違ってね!ざま
あみろ!帰ったら中華まん全種類に加えて、ローソンのからあげくん全種類買ってもらう
からな!
そういえば忘れているかもしれませんが、キャナリ先生はあたしたちの担任の先生なんで
すよ!全然話題に出なかったんですけどね。まあ出さなかったのはこのあたしですが。てへ。
違う先生のことで頭がいっぱいなんです。ぱんぱんです。
というわけで、とりあえずキャナリ先生と買い出しを続行したいと思います。





















「これで全部?」
「えーと、はい!これで全部です!うわー荷物たくさんですね…先生重くないですか?」
「何言ってるの、これくらい全然平気よ?」
「おお、頼もしいですね」
「ふふっ、任せて」




小野(仮)メモに書いてあったものを買ったら結構な量になりました。あいつこれをあた
し一人に持たせようと思っていたとは恐ろしいやつよ。ていうかばかだろ。ばかなんだろ。
そうなんだろ。
あたしは右手に2つ、左手に2つ。キャナリ先生は右手に2つ、左手に1つ。
さすがに先生に多く持ってもらうのはなんだか気が引けたので、強引に奪った。その結果
腕がちぎれそうです。学校に着くまでにちぎれなきゃいいんですけどね…!
まあそうだな、ちぎれたら小野(仮)に治してもらおうかな。グレードアップ、腕!




「そうだ、ちょっと寄り道してから帰りましょうか」
「え、いいんですか?」
「こーんなに荷物持たされてるんだからちょっとくらい待たせてやらなきゃ!」
「あはは、そうですね!」




というわけで、駅ビル内のカフェでゆったりまったりさせていただくことになりました。
ざまあ!小野!働け小野!あたしったらモブの名前をこんなに出すなんて。いかんいかん。




「はあー、腕がちぎれそうだった!」
「おつかれさま、と言ってもここからまた学校まで持っていかなくちゃいけないんだけどね」
「ですねえ。でも休憩いれなかったら絶対腕ちぎれてました」
「ふふっ、そうかもね。さ、なにか甘いものでも食べて体力回復しましょ!」
「うわあい!どれにしよーかなー。うーん。無難にチーズケーキにしようっと」
「じゃあ私はいちごタルト」
「すいませーん注文おねがいしまっす」




お店の人に注文してケーキが届くのを待つ。
しばらくしてケーキがやってきた。いらっしゃいませケーキさん!待ってました!




「いただきます!はむ。おおおおーいしーい!」
「どれどれ。…うん、おいしい」
「甘いものっていいですねえ。疲れがふっとびます」
「そうね。さんはお菓子とか作ったりするの?」
「そうですねえ、まあやろうと思えば作ります!自分のために!まさに自家発電」
「ふふっ!確かに自家発電ね!誰か好きな人とか、いないの?」
「うええええ!?すすすすすきな人、ですか?」
「そうそう、好きな人」
「ええ、まあ、そのー、いるっちゃあ…います?」
「うんうん、恋をするのはいいことよ」
「へ、へい。…キャナリ先生は、すきな人いるんですか?ってこれって聞いてもだいじょぶ
 なんですかね」
「こういう話をするのもたまにはいいと思うわよ?…私もいるわよ、好きな人」
「おおお!なんだかわくわくしますね、うふふ!」
「そうね!私も教師である前に一人の女ですもの。こういう話するの、好きよ」




…おおう。不覚にもキャナリ先生の『好きよ』にどきっとしてしまた。だってこんなきれ
いな女の人に好きよなんて言われた日にゃ頭も心もドロドロです。ねー。




「先生とこういう話できて、うれしいです。あたし、中学の時は先生に限らずクラスの子
 にもあんまりそういう話できなかったので。まあすきな人いなかったというのもあるん
 ですけどね」
「…そう。これからはいつでも話聞くからね。もちろん、恋の話も」
「えへへ、なんか恥ずかしいです。あのあの、先生はその人と付き合ってたりするんですか?」
「うん、付き合ってる。…秘密よ?」
「もちろんです!で、どんな人なんですかー?どこで出会ったひとなんですかー?うふふ!」
「学生時代の友人だったんだけど、まあいろいろあって、ね!」
「へえ!いいなーいいなー!なんか先生しあわせそうですもん!」
「うん、幸せよ」
「うーらやーましーい!」
さんも幸せになれるわよ!がんばって!」
「はい!…でも難しいそうなんですよねえ。ううむ」
「あら、そうなの?恋人がいる人とか?」
「いやー…ん?」




恋人?恋人。こ い び と ?
そう言われてみれば、あたしってばとても大切なところを見逃してはいませんか?
先生って、恋人いるの?いないの?ていうか結婚とかしてないよね?してたりするの?
すきな人とか、いるの?いないの?
恋は盲目ってか、おい。自分だけ恋をヒートアップさせといて先生のこと何も知らないじゃん。
なんてこったい。下調べっていうものを忘れてたよう!でも先生にそんなこと聞けないし。
あ、キャナリ先生にさりげなーく聞いてみたりしたらおk?




「あ、そういえば、今思ったんですけど」
「なに?」
「先生たちって結婚してる人とかいるんですか?」




さりげないよ、これ。さりげない!まあ入り方は突然だけど、話なんていつも突然だよ。
ラブストーリーは突然に!という感じで。




「そう言われるとどうなのかしら?うーん」
「……(なななんてこったい!)」
「ごめんなさい、私も全然先生方のプライベートは知らないのよ」
「確かに謎な先生多いですもんね!主にデューク先生とか」
「ふふっ、そうね。あ、でも物理のレイヴン先生は結婚してないわよ」
「! へえええ、そうなんですかー」
「そうそう、実はレイヴン先生とは学生時代の友人なのよ」
「なるほどー…」
「同じ学校に赴任になった時は本当驚いたわ」
「あはは」




あはは、じゃないでしょさん。貴重な情報と共になんだかとっても冷や汗だらだら
なんだけど。それってなぜだかわかりますか!あたしにはわかりません!
でも、でもでも!どうしても引っかかるんです。なにかがとっても引っかかる。鰻の骨が
喉に刺さってる感じ。まあ鰻なんてそう滅多に食べれないんですけどね。どうでもいいわ。
どうしてでしょう。
というかさ、レイヴン先生と学生時代の友人て、さ。もしやもしやの、…すきだったりする?
あたしだったら絶対すきだよ、キャナリ先生のこと。いや別に確信があるわけじゃないん
だけど、うん。女の勘?というか。
そう思わせるなにかが、あったような。なかっt…いやある!絶対なにかある!でも思い出
せない。このポンコツ頭!ぐわあお!











こんなもやもや感を抱いたまま、学園祭に突入。てやんでい。