「ちょいとそこのお嬢さん」
「は?」
「おっさんとどっかで会ったことない?」
「今時古いナンパですね。ていうか会ったことありませんから帰れヒゲ野郎」
「ひどい!」
最初の印象は最悪。こういう出会いって結構ありがちだ。
だけど、そんなありがちな出会いは、不思議な7日間を紡ぎだす。
半透明
7
デイズ
−0日目−
「ねえねえ!みんなは、もし自分の過去に戻れたらどうする?」
「急に何言ってんだ?カロル先生」
「ほんとに突然だね、どしたの?」
「今読んでる本にタイムスリップについて書いてあったんだ!それで、みんなはもし過去に
戻れるならどうするかなー?って思って」
「どうするも何もそんなこと考えたって仕方ねえだろ。過去に戻れるわけでもなし、オレは
戻りたいとも思わない」
「さすがユーリって感じの答えだね!は?」
「え?あたし?…うーん、まああたしも別に戻りたくないかな。それにもし、戻って過去が
変わっちゃったらみんなとこうして旅できないじゃん?」
「ふうん。でも、確かにそうだよね!過去が変わっちゃったらみんなと会えないもんね!」
「カロルはなんかあるの?ていうか、カロルまだ12歳だっけ?だったら戻るも何もなく
ない?」
「ボクはナンに今のボクを見せに行きたいかな!…ってそりゃあまだ12歳だけどボクだって
いろいろと…」
「だいたいナンに今のボクを見せに行きたいっていうなら、過去のナンじゃなくて今のナンに
会いに行けばいいじゃん。なんつーめんどくさいことしてんだよ」
「あ、そっか。でもほら、あのー」
「はいはい。とにかく過去に戻れることはないんだからいくら考えたって仕方ないって」
「そうだけどさ…あっ!レイヴンは?過去に戻ったら何したい?」
「過去?…そうねえ、たくさんありすぎてまとまんないわね」
「ふうん?あっ!エステル!エステルはー?」
「少年は元気だねえ」
仲間全員に『過去に戻れたら何がしたいか』聞きに行くカロル。あたしはそれを見て少し焦った。
あたしが思うに、ここにいる仲間は何かしらの過去を持っているからだ。特にレイヴンに聞いた
時はなぜかあたしがドキドキした。聞いてはいけないと本能が叫んだ。でもレイヴンはふざける
でもなく、真面目に答えるわけでもなく、それでも本当のことを言っているような気がした。
――レイヴンはシュヴァーンでもある。一度死んだ身でもあるし、人よりも深く暗い過去を
隠しているはずだ。それは、あたしたちが思いもよらないほどの闇かもしれない。もちろん、
実際は彼にしかわからないが、それでもそんな気がしてならない。
かく言うあたしもそれなりの過去がある。両親はあたしが小さい頃に魔物に殺され、たった一人
の弟も人魔戦争に巻き込まれて死んでしまった。まだ、7歳だった。
今では、歴史の一つとして人魔戦争と呼ばれるが、あれはもはや戦争ではなかった。一方的な
殺戮。魔物による殺戮。一生懸命生きている人でも、死んでしまう時はあまりにもあっけない。
その瞬間を何度も見た。なぜ、自分があんな戦争の近くにいたのかは覚えていない。でも、
あたしは確かにあの戦争を、あの殺戮を見たのだ。
きっと、あれに参加していたレイヴンは想像出来ないほどの絶望を味わったのだろう。あたし
たちには考えられないほどの絶望を。そんな彼が過去に戻りたいなんて、思うわけがない。
いや、もしも人魔戦争前に戻れたならば、彼は、戻りたいと願うのだろうか。彼は、“彼女”に
会いたいと願うのだろうか?
とにもかくにも、こんなことをいくら考えたって仕方ないのだ。あたしはこれでも現実主義者
だと思っている。出来もしないことを考えるよりも、これからをどう生きるかを考えるべきだ。
まあカロルはまだ幼いし、そういうことに興味をひかれるというのはわかる。だから、深く考
えることではないということだ。
でも、ほんとは少し気になった。レイヴンの、過去が。死んでしまう前の彼に会いたいなんて
言わない。だけど、せめて、生き返った彼に会いたい。そして言いたい。未来には大切な仲間が
出来るから、死人なんて言わないで。仲間に会うまで生きることを諦めないで。この世界に
絶望しないで。あたしたちが未来で待っているんだから。
実を言うと、ごく最近レイヴンへの恋心に気づいたあたしは、少しでも彼の過去に触れたい。
こんなの、最低だってわかってる。それでも、彼にとってもう一度生きたいと思わせるきっかけ
になりたかった。こんなの、非現実的だけどね。
◇◇◇
ケーブ・モック大森林の魔物の様子がおかしい、という話をダングレスト滞在中に聞いたの
で、少し様子を見てこようということになった。
ドン・ホワイトホースが亡くなった後に比べて、だいぶ落ち着きを取り戻したユニオンだった
が、それでもまだまだ忙しいのは変わりないらい。それで、代わりに様子を見てきてほしい
と頼まれたのだ。まあ、お人好しの多い仲間が断るわけもなく、こうして引き受けることに
なったのだ。あたしとしても、そんな気になる話を聞いて黙って、ああそうなんですかー、
なんていられるほど冷たい人間でもない。
ケーブ・モック大森林にさっそく向かい、一通り見たのだが、そんな様子がおかしいという
わけでもなかった。いつも通りのように感じた。いつものように魔物は襲ってくるし、いつも
のようにそれを倒していくあたしたち。特に気になるところはない。強いて言うならば、い
つも通りすぎるということだろうか。
そういえば、以前ギガントモンスターがいた場所にまだ行っていない。と思い、さっさとそこ
へ向かったものの、やはり特に変わりはなかった。ただの思い過ごし、か。
世界規模で、いろいろとややこしいことがあったので、街の人も少し敏感になっていたのだろう。
まあ、とりあえず何もなかったということで街へ戻ることにした。
油断大敵。どんな時でも魔物がいる場所で油断をしてはいけない。ま、油断してしまった後
にはそんなことはどうにもならないけど。これまた、気配を隠すのが上手い魔物がいたもんだ。
ぜひ、気配隠すの上手で賞でもあげたいね。
なんとも気持ちが悪い、でがぶつ植物系の魔物が背後から襲ってきた。ほんと気持ち悪い。
いや、むしろ気色悪い。なんだあのツタは。何本生やせば気が済むんだっての。卑猥だ卑猥。
しかも先が尖がってて危ないこと危ないこと。みんな気をつけてね。ほんとに。
「卑怯な敵がいたもんだね」
「魔物っていうのはだいたいそんなもんだろ」
「だねえ」
「ちょっと!無駄話はいいから援護しなさいよ!」
「怒られた。ユーリのせいだからね!」
「話しかけてきたのはお前だろ!」
「うるさーいっ!どっちでもいいから早く援護!」
「はいはーい」
背後を取られたくらいでやられてしまうほど、あたしたちは弱くない。それはそれは、多く
の敵と戦ってきたのですから、これくらいじゃあやられませんよっと。
最前線にあたしとユーリ、ジュディスが出る。続いてラピード、カロル、レイヴン。リタと
エステルは最後尾で詠唱に入った。少々大きな敵ではあるが、これくらいならなんてことは
ない。まあ意外と素早いのがちょいとめんどくさいが。
最前線組は、邪魔なツタを次々に切り落としていった。そしてカロルたちが本体をぶっさす。
いいコンビネーションだなあ、なんて大きな大太刀を振り回しながら考えていた。にしても
ほんと何本あるんだろうか、このツタは。切っても切っても減る気配を見せない。
…なあんか、おかしくない?というかさ、あいつなんで動いてないの?本体がさっきから同じ
場所に留まっている。おかしい。おかしいよね。それってどういうこと?
よく考えろあたし。ツタは何かを隠すための囮だったら?実は、本体だと思っていたものは
偽物で、本体は土の中に隠れていたら?だからツタは、本体を隠すために再生スピードが速い
し、減らない。そして、気を引く役目でもある。とか、これがほんとだったらやばい。やばい
けど、そんな気がする。すんごいする。でもどこにある?ツタの近く?いや違うでしょ。
敵っていうのはだいたい背後を狙って、
「みんな!本体はあれじゃない!土の中!」
「はあ!?どういうことだ!」
「あれはカモフラージュなの!本体は土の中に…!?」
うっそ、これやばい。敵は背後にいるものだという勝手な勘で後ろを向くと、カモフラージュ
の本体とは少し離れたところで、遠距離攻撃をしていたレイヴンの後ろに、突如カモフラージュ
の倍はある本体が土の中から出てきた。
おいおい!主役は遅れて登場ってか!いや危ないってレイヴン危ないって。あの非常に危険な
ツタが、レイヴンに向かっている。ちょっと、何してんのあのおっさん!目ひんむく暇があった
らそこから逃げろってんだよ!ああもう間に合わないだろうがちくしょー!
「早くどけこのばか!」
目を見開いて動くにも動けなかったおっさんを思いっきり突き飛ばした。ばっかやろーが。
ほんとにばかじゃないの。動けってんだよ、ほんとに。でもよかった。今度はレイヴンを助け
られた。ん?今度ってなんだ、今度って。あたしってば、この人のことかばったことないん
ですけど。デジャブとかいうやつか?
…いや、でもそれにしてははっきりそう、思ったんだけど、なあ。あれ、なんか力が抜けて
いくんですけど、なんで、かな。
「…っちゃん!!!」
は?レイヴンてば、なんでそんな、必死な声、出してんの。てか、何、その顔うける。
必死すぎて、すごい、おもしろいんですけど。あれ、どうしたの?って聞きたいのに、声出ない。
声の代わりに喉がひゅーひゅー鳴る。苦しい。なんで、声出ないの、かな。
あれま、これ、あたしの血、かな。下を見ると血だまりがあり、視界に何かが映った。自分の
胸を、あの危ないツタが貫いていた。
なるほど、だから苦しいのか。でも、不思議と痛みはない。ただ音が遠くなって、少し息苦しい。
すると、レイヴンが今まで見たことない顔でかけつけてきた。レイヴンに身体を起こされると、
胸を貫いていたツタが戻って行った。おかげで血が大量に出る。
レイヴンまで血で染まっちゃったよ。ごめん、汚して。顔をあげるとエステルがこちらに走って
きて、ユーリたちがツタ野郎をフルボッコにしていた。ざまあ。
ああ、これって死ぬパターンかな。あたし死んじゃうのかしら。嫌だなあ。まだ片思い中
なんだぜ、あたし。それに、まだ星喰み倒してないし、まだやることたくさんあるのになあ。
どうしよう。ああ、もうさっきからレイヴンがちゃんちゃんってうるさい。
聞こえてるよ。平気だって。ただ声出ないだけだっての。そんな顔しないでよ、おもしろい。
泣きそうな顔しちゃってさ、いい歳したおっさんが。こんなことで泣いてるんじゃないよ。
まだ死んでないっての。と言っても、ちょっとやばいかもだけど。
エステルが治癒術で傷を治してくれている。でもこれ大丈夫かなあ。なんかやばいとこいか
れた気がする。というか、治癒術の光があったかい、ような気がする。どうしよう、眠くなって
きた。これ寝たら死ぬパターン?やばいって。とりあえずおもしろいレイヴンの顔でも見てるか。
「ちゃんっ!!どうしてこんなおっさんなんか庇ったの!!」
「…うる、さい、この、ヒゲ野郎」
「!お願いだから喋らないでください!!」
「ごめ、んエステル。でも、この、おっさんに、言わなきゃ、いけない、から」
「ちゃん…っ!」
「あん、たさ、さっき、このままやられても、いいかなって、迷った、でしょ。それ見たら、
意地でも、たすけたく、なった。まあ、体が勝手に、動いた、だけだけど、さ。
…生きるって、言ったんだから、ちゃんと責任、持ちなさい、よ」
「ごめん、ごめんね、ちゃん…!ちゃんと生きるから、だから!死ぬとか、無しよ?」
「だれも、死ぬ、なんて、言ってねえでしょう、が…勝手に、殺すなっつー、の」
いつのまにやら、あの魔物を倒してユーリたちが駆けつけてきた。だからそんな顔しないで。
ほんとおもしろいから。変な顔。そんな顔するから、あたしがむしろ心配になってくるわ。
あーあ、もうやめてよね。ちょっと血が出てるだけでしょうが。みんな心配性なんだから。
ほんとにさ。
「みんなの顔、おもしろい、ことになってる、よ。心配しすぎ、だって。あたしは、平気だから。
レイヴンのために、死ぬわけ、ないじゃん?でも、すこしだけ、休ませて?…疲れちゃった。
ちょっと、寝たら、また、元気に、なる、からさ。すぐ、また、元気に、」
「…ちゃん?ちゃん!っ!!」
うわあ、目の前が白くなってく。これぞフェードアウトってか。うん、もうだめ。ほんと眠い。
ごめん、ちょっと寝るわ。じゃあ、ちょいと、夢の世界に行ってきます。だから静かに待ってて
ください。名前連呼すんな聞こえてるから。おやすみ。また、あとで。
◇◇◇
目を開けるとそこは、知らない街でした。
なんてことはありません。そんなファンタジー的な展開は残念ながらないんですね。
でも、おかしなことが起こっているような気もするんだよね。だってさ、確かあたしはケーブ・
モック大森林にいたんだよ。それで魔物に襲われて…あれ?あたし死んだ?もしかして、死ん
じゃったとかそういうオチはなしにしてくれよ。頼むから。んん?でも、どういうことだろう。
とりあえずあたしは今、帝都ザーフィアスにいます。なんでだろうか。ちなみにお城の門を
見上げています。意味わかりません。ううん、まあ一応ここがほんとにザーフィアスか確認
しておこうかな。もしかしたらパラレルワールドです!とかいうオチもあるかもしれないから。
ええと、貴族街の人とか答えてくれるかな。聞いてみよう。
「あの、すいません」
貴族街の入り口近辺にいたおばさん、いや貴族のおばさまに声をかけてみた。が、無視された。
無視て。そんな、ひどいぜ。せめてこっち見ようぜ。ちら見でもいいから見てくださいお願い
します、寂しいから。
あーあ、仕方ないから違う人に話しかける。が、無視。話しかける。無視。話しかける。無視。
話しかける。無視。ばかか!ばかなのか!無視無視うるせえんだよ!こっち見ろやちくしょう!
おんどりゃあああああああ!!!!
◇
とまあ、怒っていても仕方ないので、貴族街はだめだと判断し、市民街に降りてみた。そこ
ならさすがに無視はされないでしょう。だってあたしどう見たってただの一般庶民ですもん!
とかいう考えは甘いみたいです。まさかの展開にあたしはびっくり仰天いたしました。
なぜなら!市民街ですら無視されたからなのです★何なの。イジメ?イジメなのか?そんなに
あたしが嫌い?そういうこと?何が気に喰わないのか言ってごらんよ。30字以内で説明して
ごらんよ。でもまあ、こんなくだらないことで怒っても仕方ないから下町行こう、下町。
やっぱりあたしは下町派だ!下町万歳!
◇
まじでお前らぶっ殺す。下町とか真っ先に滅ぼしてくれようか。どういうことだよ、意味不明。
まさか下町の人にまでシカトぶっこかれるとか何?あたし天才?むしろ天才なの?そういう
こと?どうしたらいいのかわからないんですけど。さっぱりなんですけど。こうなったら城に
攻め込む?そうしちゃう?もう、それでいいや。はい、行こう。
◇
まあ城とか開かないよね。開けてくれるわけないよね。下町の人にすら無視されたあたしな
んかを、城に入れてあげますっていう心が宇宙並みに広い人なんかいませんよね。知ってた。
いや知ってたんだよ。でも、もしものことを考えて行ってみただけで、別に期待とかしてない
から。全然欠片も期待してないからね。勘違いすんなよそこんとこ!
うわああ、じゃあもうどうすんの。とりあえず階段に腰掛けてみる。あーあーあーあー。
ザーフィアス出ろってことかな。そういうことかな。それなら仕方ないけどね!もうちょっと
したら出ますよ!こんな街から出てやるよ!ばかが!
お、わんこだわんこ。かわいい。お前だけはあたしの味方だよね、と手を伸ばして触った。
…触った?触れ、ない。うええ!?意味わからん!ちょ、えええ!?どういうことどういう
こと?あたしの、手が、透けてるんですけどおおおおおおおお!!!なななに?どゆこと?
これなんですか?マジック?
手ーのひらをー太陽にー、透かしてみーれーばー、まーっかに流ーれるー、ぼくのちーしーおー★
が、なあああああいんですけどおおおおおおおおお!?透け過ぎて血潮が透けません。
意味わかりません。なんだそら。あたしはどうなってんですか!誰か教えてくださいいいい!!
いや、待てよ。ということはあたしが透けてるから誰にも見えないってこと?ということは、
あたしはやっぱり死んじゃってて、そんで幽霊になって、なぜかザーフィアスにいるっていう
ことでいいですか?
死んだのかあああああ!!やっぱり死んだのか…!じゃあこれ誰にも見えないの?霊感強い人
とかじゃなきゃ見えないの?まじかよ!誰か霊感強い人おねがいします!うわああああああ!
一人バタバタして、とりあえず走り回ってみることにした。もう混乱しすぎて何したらいいか
わからん。ちくしょおおお!ガッ!あっ!痛い!幽霊なのにこけたら痛いのかよ!どんなよ!
理不尽!世知辛い世の中!もうなんだよこの仕組みは!
あーあ。立つ気にもならないぜ。どうせみんなあたしに気づいてないんだから。しょぼん。
「大丈夫か」
あ、すいませえん。なんて優しい人がいたもんだ。手を差し伸べる人がいるなんて、世の中
捨てたもんじゃありませんんんん?え、あたしに気づいた!?うっそまじか神か仏かいたこか!!
「ああああの!あたしのこと見えるんですか!?そして手、ありがとうございま…レイヴン?」
「見える、とはどういう意味だ?それに、俺はレイヴンという名前ではない」
「じゃあ誰だってのよ」
「シュヴァーン・オルトレインだ」
「は?シュヴァーンて、え?うん?いやそれはもう解決したことだし?は?え?意味わかんない!
とりあえず霊感あるんだね!それはほんとありがたい!今のあたしは幽霊らしいのでよろしく
どうぞ!」
「幽霊?…ふざけてるのか。どう見たって人間だろう」
「いやでもみんなには見えないみたいなんだよね。だから、たぶん今のレイヴンは、ひとり言
をしゃべってるって感じになってるんじゃない?ぷぷぷ。というかあたし透けてるじゃん!」
「…確かに透けている、な。が、幽霊なんていうものは、」
「まあいいや、とりあえずレイヴンしかあたしのこと見えないみたいだし、2人になれるとこ
に行こう。このままだとおっさんただの怪しい人だから」
「何勝手に決め」
「早く早く!」
とりあえず、こんな城門前でレイヴンがひとり言をしゃべってたらおかしいので、移動する
ことにした。
でも、なんでシュヴァーンとか言ってんの、このおっさん。だいたいシュヴァーンは死んだ
って言ってたし、あたし見てもあんな反応おかしいでしょ。それに、ケーブ・モック大森林
に今まで一緒にいて、ああなったのにさ…あああもうだめ!今は考えんのなし!
とりあえず整理してからじゃないとなあ。
ほんとどうなってんのかね、これ。