あたしを見て。
あたしだけを見て。
ずっとずっとあたしだけを見て。
それから、あたしのモノになればいい!
純
情
暴
徒
これは恋?それとも愛?どっちなんだろうか。まあ、どっちでもいいや。どっちでもいい。
だからあたしに愛をちょうだいよ。あたしが欲しいのは、あんただけ。
「どうしてかな」
「何が」
「あたし、結構本気ですきなんだけど。レイヴンのこと」
「だから何だよ」
「だから、何でこんなすきなのに想いが届かないのでしょうかって話」
「さあなー。オレにはさっぱりだな」
「役立たず」
「あのな、こんな夜中にお前の話を聞いてやるオレは役に立ってる方だぞ」
「肝心なとこが役に立ってないんだもん」
「オレにどうしろってんだよ」
「打開策を練ってほしい」
「打開策なー」
「頼むよ兄ちゃん」
「いっそのこと堂々と好きだって言ってくればいいんじゃないのか?」
「…ふう」
「何だよそのため息は」
「ユーリくん。まったくもってきみは乙女心というものを1ミクロンも理解していないね」
「はあ、すいません」
「ほんとだよ!そんな直球に行けるほど乙女は強くないんだよ。このおバカさんめ」
「……」
「今うぜえこいつって思っただろ。思っただろ!」
「おう」
「おう、じゃねえよ。とにかく直球じゃない方法を考えてくれよ」
「んー。特にない」
「そうか、特にないか、ってバカヤロー★だめじゃん。真面目に考えて!」
「んー」
まじで頼むよユーリくん。あたしにはこいつしか頼れる人いないんだよ!
と言うのも、なぜこいつじゃなきゃだめかっていう話なんですけどね。一応説明しとくわ。
まずエステル。彼女はこういう話に疎いと思うんだよね。だから、応援します!うん、ありがとう!
はい、会話終了ってなりそうなんだよ。だからごめん、エステルは無し!
次、カロル。こいつは見た目からもう論外だ。ごめん。ナン一人落とせない男には相談できないね。
というわけでカロルも無し!
次、リタ。彼女はそもそも相談に乗ってくれなさそう。というか、え、おっさん好きなの?あんた
頭大丈夫?って言われそう。そんなん言われたら元も子もねえよ!というわけでリタも無し!
次、ジュディス。一見大人な意見をくれそうだけど、そうね、薬でも盛ってみたらどうかしら?と
か言ってきそうだからこわい。そもそもジュディスのようなないすばでぃを持っていたらこんなに
困らなかったかもしれないのにな。な ん て 不 公 平 な 世 の 中 !というわけで、
ジュディスも無し!
次、パティ。意外と恋愛事に関しては彼女が打開策を叩きだしそうだが、あいにくユーリらぶ!の
この子にはレイヴンに対してのパターンは持っておりませんって感じするんだよね。だからあたし
には投げやりに言いそう。おでん渡せばオールオッケーなのじゃ!とかね。何もオッケーじゃねえ
んだよ!というわけで、パティも無し!
一応ラピードも。…言葉の壁があるから無理だ。ごめん。
そして最後はユーリ!来ましたよ。大本命です。何と言っても同年代。これポイント高いよ。それ
に彼は常識人である。意外と。大人だしね。あたしもついお兄ちゃん!って呼びたくなります。ま
あ以前1回呼んだことあるんですけど、鞘で(中身あり)思いっきり殴られた。軽くお花畑見えた
よね。女子にも容赦ねえ!と思いました。
とかなんとかであたしは一縷の望みをこの色気ムンムンの彼にかけたのです。そんなわけで頼む!
「何か思いついた?」
「んー」
「早くー」
「んー」
ユーリが考え中なのであたしもそれなりに考えてみることにした。ユーリに話しかけながら。
何かさあ、最近レイヴンよそよそしいんだよねえ。ユーリは相変わらずんーという返事しかよこさ
ない。だけど構わず話し続ける。
ほんと何でだろ。急にだよ、急に。へこむよね。何でだ。あ、そういえばこないだの夜、ユーリと
お酒飲んだ日!その日さ、確かレイヴンの部屋に行ったんだよ。それで、何したっけなあ。
あ、そうそう。つい抱きついちゃってさ!「ん?」そのままマジトーンで、あたし本気でレイヴンすきだから、
とか言った気がする。「は?」そうだ、そうだよー!もう告白してましたよ、あたし!あらや
だー、もう言ってたよ!
「ちょ、おま、え?」
「とんだ展開ですね」
「おい」
「はい?」
「もうどうしようもねえよ、諦めろ」
「ええええ!そんなこと言わずにお願いしますよ!ユーリさん!」
「まあ、大方お前が酒混じりで本気の告白するから、おっさんはどうしたらいいかあぐねいてるん
だろうな。ああ見えておっさんは純だからな。ジュディ曰く」
「ははーん。なるほどね。別に嫌がってるわけじゃないんだ。ということは本気ったら本気なの!
という気持ちをアピールすればいいわけですね?」
「そういうことだな」
「で、どうすればいい?」
「もう適当に何かしろよ」
「投げんなよ!」
「じゃあ、夜這いでもしたらどうだ?何てな、じょうだ…」
「それだ」
「は?」
「それだよ、まさに打開策キタコレ。ありがとう!今から夜這いしてきます!」
「おい!冗談だろうが!何でそこは真面目に取るんだよ!」
「いってきまーす!」
「本気かよ。…オレは何も知らない」
★
どうも!です!ユーリに素晴らしい助言をいただいたあたしはついにやってまいりました!
レイヴンさんのお部屋です。でも一応夜中なので静かに、そして慎重に入りたいと思います!
ひゃっほい!テンションは上がる一方ですね!それではお邪魔しまーす。
カチャ
どうも、無事にレイヴンの部屋に侵入しましたあたしです。さて、部屋は真っ暗です!起きてます
でしょうか、いやどっちでもいいんだけどね。起きていようが起きていまいが!
はい、というわけで目標をベッドに確認しました!それでは突撃したいと思います!
、いっきまーす!
「とりゃ!」
「ぐえ」
無事、馬乗り成功です。ありがとうございます!これからが本番だぜ。
「ごきげんよう」
「え?え?何これ?ドッキリ?」
「ざんねーん!ガチです」
「ガチってえ?ていうかちゃん?どしたの?これ何?何?」
「俗に言う夜這いです」
「よ、え?よば、よばい?夜這い!?」
「正解!」
「正解って答え先に言ってた…って何で!?何でこうなってんの!?」
「それは、レイヴンが乙女の純情を踏みにじったからです」
「ええ!?おっさんそんなことしてないと思うんだけど、」
「しました。乙女の告白を受けたにも関わらず、次の日からよそよそしくなるとは何事か」
「え、告白?告白って、あの、こないだの?」
「それ以外何があるんですか、おじさま」
「だだだってあの時ちゃん酔ってたでしょ?だから、あの、てっきり冗談かと…」
「冗談じゃねえよ。ガチトーンで言っただろうが!乙女の告白を何と心得る!」
「誰!?もはや誰!?…とにかく、あのー、冗談だろうと思いつつ本気だったらいいなあとか
思ってたりで、よそよそしくなってしまったと言いますか、」
「何て?本気だったらいいなあ、ってどういうこと?」
「え、だから、おっさんもちゃんのことが、あのー」
「はっきりしろや、35歳。じゃああたしがはっきり言うけど、レイヴンがすき」
「あ、うん、あの、俺もちゃんがだいすきですっ!」
「よくできました」
「え?じゃああの、どいてもらっても…」
「
い
た
だ
き
ま
す
」
(ええええ!?何でそうなるの!?)(別にいいじゃん、すきなんだから)(そういう問題!?)
(じゃあどういう問題?)(いや、あのーっていうかおっさんが下なの!?)(いいから、大人
しく喰われてろ)(…はい)